大宜味村ネクマチヂ岳を行く!Nekumachiji Trekking Route in Ogimi Village, Okinawa

昨年後半から年始にかけて何かとあわただしく時が過ぎていました。心の余裕も無くなりかけていた1月中旬、無性にやんばるへ行きたくなって久しぶりに犬を乗せて北へ車を走らせました。

I was running around and being busy last couple of months. One Sunday morning in the middle of January, I decided to go hiking in the forest of Yanbaru with my dog.

ネクマチヂ岳ルート
Nekumachiji Trekking Route

目指すのは、約1年前に友人達と歩いた大宜味村の散策路です(2017年12月20日のブログ記事)
山へ向かう途中、桜並木を通りましたが、この冬はそれほどの冷え込みもなく、1月中旬というのに桜はほとんど咲いていません。坂道を登り切った所にある六田山登り口近くの駐車場には数台の車が止まっています。きっと、久しぶりの青空に、山歩きに訪れた人たちでしょう。

今回は比較的短いネクマチヂ岳ルートへ向かいます。イギミハキンゾー登り口駐車場へ車を停めると、ほぼ同時に隣へ停まったレンタカーから内地からの観光客らしきグループが降りてきます。この日の最高気温は20度でしたが、沖縄の冬独特の風の強い日で、「意外と寒い~」と言ってジャケットのファスナーを首元まで上げています。トイレを済ませて、ネクマチヂ岳山頂を目指して出発です。

We headed for the trail in Ogimi Village where I went to hike with my friends about a year ago (blog article of 20 Dec 2017). This time, I wanted to walk on Nekumachiji Route, so parked my car at the parking lot near Igimihakinzo Entrance.

冬も色鮮やかなやんばるの森
Colorful Yanbaru Forest

やんばるの森は冬でも濃い緑に包まれて、所々に咲く小さな白い花や赤い木の実、亜熱帯植物で溢れています。

日本最大のシダ植物「ヒカゲヘゴ」の幹の模様

強い北風が吹き、森中の木がザワザワと音を立てています。散策路はコンクリートの杭とロープでコースが記されていますが、所々に大宜味村を囲むように1605年頃に築かれた全長約31キロの猪垣(やまししがき)の一部の様な石造りの階段もあります。

何百年もの間、そこに存在してきた音や匂いや周りの植物を堪能しながら前日までの雨で湿った土の上を歩きます。
森中のそこかしこに赤くて艶々としたゼリーの様な実がなっています。

後で調べると、「ボチョウジ」という植物のようです。冬の沖縄は意外にも色々な花が楽しめる季節で、散策路沿いには天狗のうちわの様な形をした葉っぱ(リュウキュウヤツデ、またはテングノハウチワ。まさにそのまんま。)があったり、赤い椿の花が落ちていて、見上げると高さ約4メートルの椿の大木があったり、と目を楽しませてくれます。

It was raining on and off until the day before, and the trail is little bit wet. The sun came out, but it is still very windy and little bit chilly. The trail is marked with concrete pegs and rope, but there are stone stairs that may have been built around the same time as wild boar wall in the 17th century. There are colorful flowers, fruits, and interesting shape and look of plants everywhere in the forest.

めざせ、ネクマチヂ頂上!
Top of Nekumachiji Hill

散策路途中の休憩広場には大宜味の山中には約20万本ほどのツバキ類があると説明書きがあります。説明によると、ネクマチヂ岳一帯にはヤブツバキの群生地やサザンカの樹群があり、香りのするツバキとして知られている沖縄固有種のヒメサザンカも見ることができるそうです。

休憩広場を後にして散策路を進むと、反対側から楽しそうにおしゃべりをする人の声が近づいてきます。母親と中学生くらいの女の子が現れて、頂上まではもう少しだと教えてくれます。2人は反対側の入口から歩いて来たそうです。

トンネルのように反対側まで穴の開いたクスノキの洞(うろ)や立派に発達した板根(ばんこん)を持つ木、頂上へ続く石の階段。森には自然が作り出した美しい景色が散りばめられています。ほどなく入口から566メートル地点の頂上近くの展望広場へ到着します。

風は相変わらず強く、耳元でビュービューと音を立てています。青空が顔をのぞかせているものの、ぼんやりとかすんだ東シナ海の水平線には伊是名島や伊平屋島が浮かび、眼下に広がるやんばるの森の緑は本島最北端の辺戸岬まで途切れることなく続いています。何百、何千の動植物の住処です。

しばらく座って景色に見入っていましたが、ここより高い場所がある事に気づき、そこへ行ってみます。木々に邪魔されて、展望広場の様な景色は楽しめませんが、ここがネクマチヂ岳の頂上のようです。

According to the information board on the trail, there are about 200,000 wild camellia trees around Nekumachiji. After not so long time, I came to the place near the top where I could see East China Sea, Izena and Iheya Islands, and Yanbaru forest that spread all the way until Cape Hedo, the Northern end of Okinawa Island. The sight made me realize that this place is home to hundreds and thousands of animals and plants. Some of them exist only here in the whole world.

鳥語を操るシジュウカラ
Talking Birds

頂上へ到達したので、今来た道を戻る事にしました。登って来る時は頂上へ行くのに一生懸命で気づかなかったのですが、山の南側に位置する階段周辺は、強風も遮られてとても静かで気持ちのいい場所です。

目の前の枝に一羽の鳥が止まってこっちに向かってピーピー鳴いています。まるで話しかけてくるかのように鳴いているのがめずらしくて、立ち止まって鳥を見ていると、周りから「ジジジジ・・・」とシジュウカラの声も聞こえて来ました。「ピーピー」「ジジジジ」と一羽、また一羽と黒い頭に灰色の翼、くちばしの下から胸元に黒いネクタイの様な模様を持つシジュウカラが集まって来てしきりに鳴いています。

シジュウカラは単語と文法を使って仲間同士で会話ができる鳥だそうです。私と犬の目の前の木の枝に、12~13羽の鳥が止まってそれぞれにピーピー鳴きながら、こちらを観察しています。何を話しているのでしょうか。よく見るとシジュウカラの他にメジロや少し大きめの茶色の鳥も混ざっています。メジロたちもシジュウカラと会話ができるのか?そういえば、最初にシジュウカラに集合をかけたのも、茶色の鳥でした。

とても不思議で写真を撮りたかったのですが、鳥が逃げてしまいそうなので、身動きせずじっとしていました。犬もただならぬ雰囲気に警戒しながらもジッとしています。

そのうち、好奇心旺盛な一羽のシジュウカラがどんどん近づいてきました。2メートルくらい正面から私たちを見ています。次は、左斜め後ろ1メートルくらいに寄って来てこっちを見ています。そして、私のすぐ左側へやって来ました。手を延ばせば届くくらい近づいています!
黄色がかった綺麗な羽をもつこのシジュウカラは、しばらく横でピーピー鳴きながらこちらを観察していたかと思いきや、飽きたのか、突然場所を移動して離れていきます。すると、他の鳥も後に続いて枝から枝へサルの集団が移動するように集団で移動していなくなってしまいました。

鳥の鳴き声はぱたりと止んで元の静かな森には私と犬だけが取り残されました。

After getting to the top of Nekumachiji, I decided to go back the trail instead of going forward to the other end. Then, all of a sudden, one brown bird started to tweet right in front of me. When it tweeted, another bird responded, and, one by one, started to gather in front of me and my dog. We were being very still. Most of the birds gathered were Parus minor. These birds are known for using words with grammatical rules to communicate each other. They are all looking at us and tweeting nonstop. I wondered what they were talking about. One brave bird started to get closer and closer to me. It came so close to me that I could touch it if I stretched my arm. Then, they lost interest in us, and flew away. It was very strange experience.

キノコの森
Mushroom Forest

不思議な気持ちのまま、また歩き出します。太陽が木々の間から降り注いで森の中が光で満たされています。

すると、湿った地面からニョキニョキ顔をだす不思議な物が目に入りました。毒キノコを絵に描いた様な、いかにも、という形の黄色い茎にイチゴの模様のような焦げ茶色のぶつぶつが付いた茶色っぽい傘を持つキノコです。鼻を近づけそうな犬をあわてて静止して写真を撮ります。

始めて見るこのキノコは、「キイレツチトリモチ」という寄生植物(キノコじゃない!)で、他の植物の根に寄生して成長するそうです。やはり、毒キノコ的な不気味さを持つ植物です。

ネクマチヂ岳はゆっくり写真を撮りながら約1時間ほどで周れるお手軽山歩きコース。やんばるの空気をいっぱい吸って、心も体も浄化した気分です。久しぶりのやんばるでは色々な発見や出会いに癒されました。

After the strange experience with the talking birds, we started to walk in the forest again. There are strange looking things coming out of the wet ground. Poisonous mushrooms? I stopped my dog getting close to them and took some pictures. Turned out, they were Balanophora tobiracola and not mushrooms, but parasitic plants. Nekumachiji trekking trail is very short but with full of surprises, and another great place to enjoy forest of Yanbaru!