やんばるの森の拠点「Cafe Okinawa Rail」 "Cafe Okinawa Rail" in Kunigami Village, Okinawa

沖縄県北部の国頭村と大宜味村にまたがる大国林道をゆっくりとドライブしていると、森の真ん中に突如現れたCafe Okinawa Rail (カフェ オキナワ レイル)。そこは自然のリズムの中で、本と音楽と旬の食材が楽しめる、やんばるの森の拠点です。

Cafe Okinawa Rail is located on Okuni Rindo road in the middle of the forest of Yambaru (or Yanbaru) in Kunigami Village. On the contrary to its cold appearance outside, the cafe is filled with warmth and super eco-friendly!

やんばるくいなの Cafe Okinawa Rail

大国林道(2017年5月30日のブログ記事)を寄り道をしながら、ゆっくりと車を走らせていると、起点から12キロ地点、終点から約23キロの距離を走るのに、2時間近くかかってしまいました。トイレに行きたくなったので、残り12キロを急いで進むことにしたその時、突然森の中に建物が現れました!
青の看板に白い文字で「民宿やんばるくいな荘 Cafe Okinawa Rail」と書かれています。

民宿なのか?カフェなのか? やんばるの森のど真ん中に、コンクリート打ちっぱなしのトレイラー型の建物が立っています。とりあえずトイレを使わせてもらおうと中を覗きました。図書室の様に壁一面が本棚になっていて、店の中央にアップライトピアノが置いてあります。

予想外の店内の雰囲気に、テンションが上がります。 テラス席に犬を連れて行っても大丈夫との事なので、昼時ということもあり、食事をしていく事にしました。
店内には軽快なジャズが流れています。

Cafe Okinawa Rail appears suddenly in the middle of the forest when you drive on Okuni Rindo road in Yambaru (See the article of 30 May 2017). Yambaru is the name for northern part of Okinawa’s main island, and the area was designated as Yambaru National Park in September 2016. “Okinawa Rail (Yambarukuina in Japanese)” is a bird that is indigenous to Yambaru area, and it is one of the endangered species and Japan’s natural treasure. Inside the building, one side of the wall is completely covered with book shelves, and looks like a small library. There is a piano in the middle of the room and jazz music is coming out from the speakers.

100%オフグリッド!
100% Off-The-Grid!

メニューを持ってきたオーナーの金城さんが、カフェは6か月前にオープンしたばかりだと教えてくれます。
本棚の反対側は一面大きな窓になっていて、通りに面した無機質な外観と打って変わって、豊かなやんばるの緑が目の前に広がります。

さっきまで見ていたやんばるの森が、この建物と音楽とで、どこか別の場所のように見える不思議な空間です。
そして、何よりもすごいのは、この建物が100%「オフグリッド」である事です!オフグリッドとは、電気や水などのインフラ網に繋がっていない、という意味で、Okinawa Railは電気、水、浄化槽も完全にインフラ網から独立した建物です。

驚いたのは、ソーラーパネルを設置する際、電気会社に「電線の無い所へのパネルの設置は無理」と言われて、電気の免許を取得して自らパネルを設置し(林道を挟んで建物の反対側の畑に設置)、フォークリフト用の電池で蓄電池を作って施工したとの事で、その行動力に脱帽です! 

水は山からパイプで引いてきて使っているそうです。フィルターを設置して保健所からの許可も下りているので、安心、安全で、何よりも、贅沢な美味しい水です。
その他にも、合併浄化槽で綺麗にした水を、畑の横に設置した蒸発拡散装置でその名の通り空気中に蒸発させているそうです。

地中約1メートルの深さのプールから、毛細現象で水を蒸発させている

制限の厳しい区域だった為、建物を建てる許可を取るのが大変だったそうで (このエリアが「やんばる国立公園」に指定される2か月前に、建物は完成)、カフェの構想から完成まで6年の歳月を費やしたOkinawa Rail。ちなみにOkinawa Railとは、やんばるに生息する国の天然記念物の飛べない鳥、ヤンバルクイナの英語名です。

Mr. Kinjo, the owner, started the cafe in December 2016. Amazing thing about Okinawa Rail is that this building is 100% off-the-grid. Off-the-grid or off-grid is a life style which does not rely on the municipal infrastructure. Mr. Kinjo got the electrician license and installed the solar panels with his family when electric company told them it was impossible to set up the panels at the location. For drinking water, they drew water from the mountain. The water of the area is sweet and many people come to get the water to the forest and use it at home. Mr. Kinjo said some of them even came from Naha City! They use evaporation system for the wastewater. The water goes to the pool located at the field across from the cafe, and evaporates in the air by capillary action.

本を読んだり、音楽を奏でたり、贅沢な時間が流れるカフェ
Read Book, Play Music, or Do Nothing!

カフェをオープンする前は何をしていたのか金城さんに聞くと、父親の代の30年前から地元、国頭村辺士名で「やんばるくいな荘」という民宿を営んでいるとの事。これで表の看板の謎が解けました。
カフェを建てる前は、この場所(原っぱ)でよく演奏会を開いていたそうで、「やんばるの森の中でゆっくりしたい」と思い、「ゆっくりするなら読書」、「読書をするならブックカフェ」という結論に至ったそうです。
カフェの入口から反対側の壁まで続く本棚には、手に取って開いてみたくなる本や写真集がズラリと並んでいます。

金城さんセレクトの本や、知人が寄贈してくれた本など、現在750冊も蔵書があるそうで、村立図書館より充実している、と冗談交じりに話します。店にくる客に音楽をやっている人も多く、よく演奏会などを開いたりするそうで、そのためにピアノを置いてあるそうです。
やんばるの森の中に拠点を作りたかった、という金城さん。やんばるくいなの森の中にあるCafe Okinawa Railには贅沢な時間が流れます。

Mr. Kinjo said his father started guest house “Yanbarukuina So” in Hentona area in Kunigami Village 30 years ago, and they used to have music concerts in the forest where now cafe is at. Mr. Kinjo wanted to relax and read a book in the forest of Yambaru, and decided to open the cafe. There are currently 750 books selected by Mr. Kinjo and his family. Some books were donated by friends and customers. In order to have concerts, Mr. Kinjo brought the piano to the cafe. He said many customers coming to the cafe were musically talented. People come to Okinawa Rail and enjoy spending time however they like.

ランチプレートはやんばるを凝縮した小さな庭
Colorful “Okinawa Rail Plate”

食事のメニューは「Okinawa Rail プレート(1180円)」のみです。運ばれてきた皿の上は色鮮やかで、まるで小さな庭のようです! 

「やんばるの食材をつかったデリプレート」には、金城さんの父親が道向かいの畑で栽培した野菜を使った「大国林道サラダ」、国頭でとれた「ネギの卵とじ」、さっぱりしていて美味しい「人参しりしりサラダ」、身がホロホロになるくらい煮込まれている「チキンのトマト煮」、その他「地元の食材を使った何かを2~3品ほど」に、やんばるの旬な野菜を使った「やんばるスープ」と、金城さんの「手作り田舎パン」です。このパンは「ホシノ天然酵母」を使って、じっくり2日間かけて作るそうで、外はカリカリ、中はもっちりとしていて、本当に美味しいパンです!料理もどれも美味しく、量もたっぷり入っていて大満足です。

メニューの最初のページにある言葉は、「晴れた日は電気が余って活動的に 曇りの日はほどほど 雨の日は静かに」。

自然のエネルギーで全てをまかなっている、森の拠点のカフェには、人間にとって、本来、一番自然なリズムで時が流れています。

The lunch menu is “Okinawa Rail Plate (1180 yen)”. It is very colorful, and looks like a small garden on the dish! Half of the vegetables used at Okinawa Rail are from Mr. Kinjo’s father’s garden across the cafe, and the other half is from the local area. Mr. Kinjo spends two days to bake bread himself. Everything is fresh and delicious! If you ever come to Yambaru area, it is worth while to take a detour and stop by Cafe Okinawa Rail.


Cafe Okinawa Rail
住所:沖縄県国頭村字奥間大保謝原2014-107
電話: 080-8350-5524

Cafe Okinawa Rail
Address: 2014-107 Taihojabaru, Okuma, Kunigami, Okinawa
Phone: 080-8350-5524