大浦湾は名護市の東海岸に位置する沿岸部約10km、湾口約4kmの海域です。2007年に巨大なアオサンゴの群集が発見されたのをきっかけに、多くの人にも多様な生物が生息する海域として知られるようになりました。その大浦湾海底の世界を、年齢も体力も問わず誰でも気軽に参加できるグラスボートツアーで覗いてみました。
The Oura Bay is located on the east coast of Nago City in Okinawa Island, and became famous for its biodiversity and beautiful corals when a large colony of “Blue Coral” (Heliopora coerulea) was found in 2007. Now you can explore the beautiful under water world of the Oura Bay by glass bottom boat without too much hustle!
じゅごんの里の「大浦湾グラスボートツアー」
Oura Bay Glass Bottom Boat Tour
北風の吹く寒い冬場が、大浦湾でのダイビングのベストシーズンですが、寒がりの私にとって冬のダイビングは一大決心で行う、ある意味、修行の様なものです。2016年2月に大浦湾でダイビングを行いましたが、1本目のボートダイブ終了後、あまりの寒さに「2本目はキャンセルします」と、のど元まで出かかっていた程です。休憩中にお湯を浴びて、無事2本目のダイビングを終え、見どころ満載の大浦湾の素晴らしさに感動しました。
しかし、今年は名護市瀬嵩にある「じゅごんの里」がグラスボートツアーを始めた事を小耳にはさみ、早速ツアーに参加する事にしました。じゅごんの里(代表:東恩納琢磨さん)は、大浦湾を拠点に、修学旅行や個人旅行の自然体験ツアーの実施や、自然保護活動を行っている団体です。
大浦湾グラスボートツアーへの申し込みは希望日の2日前までに、じゅごんの里ホームページの申し込みメールフォーム、またはファックスで行います。一回約30分のツアーが、毎日5回予定されていて、グラスボートには一度に11名まで乗船する事が出来ます。料金は一人1000円ですが、現在は全額「辺野古基金」へカンパしているそうです。
グラスボートツアーの最大の利点は、年齢も免許の有無も関係なく、ほとんどの人が参加できる事です。また、ボートには屋根が付いているので、多少の雨も関係なく、夏場の日差を避け、冬場も風の寒さに震える事なく快適です!
The Glass Bottom Boat Tour is operated by a group called “Dugong-no-sato” in Setake area in Nago City. You can make a reservation by sending an e-mail message through their website or fax at least 2 days before the date you wish to join. 30 minute tour is scheduled 5 times a day and the cost is 1000 yen per person. The money collected will be donated to “Henoko Fund”. The best thing about the Glass Bottom Boat Tour is that almost anybody can join and enjoy it regardless of his age or ability to swim. However, as of March 2017, the tour is held in Japanese only.
「ゆがふ世」船長の西原さん
Captain Nishihara
ツアー当日、集合場所の名護市汀間(てぃま)の漁港へ向かいます。この日は朝から北風が強く、強風注意報が発令されていて、本島西海岸の海は白波が立つほど荒れ模様です。酔い止めの薬を飲んで、港へ着くと北風が本島によって遮らた東海岸は嘘のように波が穏やかです。2日ぶりに太陽も顔をのぞかせて、絶好のグラスボート日和です。
グラスボート「ゆがふ世」が岸壁に接岸して、船長を務める西原瑠夏(るか)さんが船室から出てきて笑顔で迎えてくれます。
神奈川で生まれ育った西原さんは、12年ほど前に父親の故郷である沖縄へ移住してきたそうです。じゅごんの里の東恩納さんに声をかけられた事をきっかけに、2017年1月からグラスボートの船長として働き始めたそうです。
西原さんは多くの人に大浦湾の素晴らしさを知ってほしい、そして小さな子供でもお年寄りでも楽しめるグラスボートツアーはその手助けになれる、と言います。もともと海が好きで、毎日海に出られるのが楽しい反面、安全を確保する事に関しては「緊張する」そうで、天候状況を見極めながら、「無理をせず」を心がけているそうです。
The captain of the boat is Mr. Ruka Nishihara. He was born and raised in Kanagawa Prefecture in mainland Japan, but moved to Okinawa, which is his father’s home town, about 12 years ago. He started to work as glass bottom boat captain since January 2017. He loves to go out to the sea everyday, and wants many people to know how beautiful underwater of the Oura Bay is.
新種が発見され続ける、海洋生物のるつぼ
The Blue Coral in Oura Bay
ツアーが始まると、西原さんが大浦湾に生息しているサンゴについての説明を行います。沖縄では400種類以上のサンゴが確認されていて、大浦湾では毎年、数種類の新種の生物が確認されているそうです。
大浦湾と言えば、2007年に発見された、長さ50m、幅30m、高さ12mの大きなアオサンゴの群集が有名ですが、これは単一の遺伝子でできているアオサンゴとしては、現在確認されている中では世界最大の大きさだそうです。この大きさになるまでに、3000年以上はかかる、と言う事で大浦湾のアオサンゴを「縄文アオサンゴ」と呼ぶ人もいるそうです。
Mr. Nishihara explains about corals in the Oura Bay while he operates the boat. According to him, there are more than 400 kinds of corals found in Okinawa. The most famous coral in the Oura Bay is the “blue coral” (Heliopora coerulea) and large colony was found in 2007. The size of colony of blue coral in Oura Bay is 50m long, 30m wide, and 12m high, and is made of a single gene. It is estimated to be over 3000 years old!
自然の作り出した芸術作品
A Masterpiece Created by Nature
グラスボートツアーではアオサンゴの群集の他に、ミドリイシと呼ばれるサンゴの種類で構成されている、見事なテーブルサンゴの群集のあるポイントを回ります。
色や形も様々なサンゴの周辺には、無数の色とりどりの魚が泳ぎまわり、これが自然の作り出した沖縄の海の本来の姿なんだ、と感動します。波も穏やかなこの日は水も透明で、グラスボートから水深約16mの海の底までハッキリと見る事が出来ます。
ポイントを回った後、ボートは港へ向かいます。ほとんどの間、のぞき窓(?)から海の中を見ていたので、ボートの外へ視線を移すと、新緑が清々しいやんばるの景色が目に新鮮に映ります。そしてボートは青い海の上に白い波しぶきを残して進んで行きます。
帰りのボートの中で、西原さんがアオサンゴの名前の由来や、大浦湾のアオサンゴが単一の遺伝子で出来ているために、遺伝子的にはそれほど強くなく、環境の変化に影響されやすい事などを教えてくれます。
自然が何千年もかけて作った、この素晴らしくも壊れやすい芸術は一見の価値があり、未来へ残すべき宝物です!
Another point you can observe from the boat is colony of table coral. There are many different colors and shapes of corals with fish swimming around them. It is such a beautiful sight! The water is about 16m deep, but it is so clear that I can see the bottom of the ocean from the boat. On the boat, Mr. Nishihara explains how blue coral got its name and how fragile it is. The Oura Bay is a masterpiece of nature and treasure that we should protect for our future generations.
ツアーの後は「さらばんじ」で腹ごしらえ!
Diner ”Sarabanji”
汀間漁港へ戻ってボートを降りた後、近くにある「さらばんじ」で美味しい定食が食べられると教えてもらい、お昼も近かったので早速向かいます。
ランチは日替わりで、650円~700円です。この日メニューにあった、スーチカー定食(700円)を頼みます。豚肉の塩漬けをスライスして焼いたものに、サラダ、小鉢3品、ご飯、味噌汁、漬物に、食後のアイスコーヒー付き、とボリュームたっぷりです。
シンプルで塩味の効いたスーチカーは店で塩漬けにしたものだそうで美味です! 尚、ランチは電話で持ち帰りの注文も受け付けているそうです。定食を完食してお腹がいっぱいだったので買わなかったのですが、レジの横では美味しそうな手作りのサーターアンダギーも売っています。
さらばんじの営業時間は11:00~15:00、定休日は月曜日です。
After the tour, Mr. Nishihara told me that there was a good place serving great Okinawan dishes. “Sarabanji” is located a couple of hundred meters north from Tima Fisherman’s Port on Route 331. The price of lunch special is 650 yen or 700 yen and it comes with main dish, couple of side dishes, bowl of rice and miso soup, and iced coffee. As Mr. Nishihara said, the food was great! It is open between 11:00-15:00, Tue – Sun, and closed on Mon.
じゅごんの里
住所:沖縄県名護市瀬嵩48番地
電話・FAX:0980-55-8587
Dugong-no-Sato
Address: 48 Setake, Nago City, Okinawa
Phone & FAX: 0980-55-8587
お食事処 さらばんじ
住所:沖縄県名護市汀間367-5
電話:0980-55-8684
Diner Sarabanji
Address: 367-5 Tima, Nago City, Okinawa
Phone: 0980-55-8684