古代オキナワへのいざない。伊計島仲原遺跡 Nakabaru Ruins in Ikei Island, Uruma City, Okinawa

2020年秋、久しぶりにバイクを借りて伊計島へ向かいました。島の大半を占める畑の一角に、巨大な石おのに「イチの里 仲原遺跡(なかばるいせき)」と刻まれたオブジェを発見。バイクを下りて木々に囲まれた敷地内へ進むと、目の前に突如古代遺跡が姿を現しました。
In October last year, I rented a motorcycle and headed to Ikei Island and found Nakabaru Ruins in the middle of the fields by accident.

車で行ける伊計島!
Driving to Ikei Island!

うるま市与那城の伊計島は沖縄本島中部、勝連半島の沖にある離島の一つです。離島と言っても本島と平安座島(へんざじま)は海中道路で、そして平安座島、宮城島、伊計島はそれぞれ橋で繋がっているので、休日にはドライブやツーリングで立ち寄る人も大勢います。

宮城島と伊計島を結ぶ島の象徴の赤い伊計大橋を渡り終えると、すぐ左手に夏は海水浴客で賑わう伊計ビーチ、そして道路の右手奥へ進むと、昔ながらの姿を残すのどかな伊計の集落があります(2017年11月24日のブログ記事)。

Ikei Island in Yonashiro, Uruma City is one of the remote islands off the coast of Katsuren Peninsula. However, the islands of Henza, Miyagi and Ikei are connected by Kaichu road and bridges, so many people visit the island by cars or motorcycles on a weekend or holiday.

国指定史跡 仲原遺跡
Nakabaru Ruins

伊計ビーチを過ぎてそのまま真っすぐ進むと両側にはサトウキビや葉タバコの畑が広がります。そしてさらに真っすぐ島の北の端まで進むと温泉やプール、レストランを備えた「AJリゾートアイランド伊計島」へたどり着きます。以前からリゾートホテルへ向かう一本道の途中に「仲原遺跡」の標識があるのには気づいていましたが、昔住んでいた家の近くにあった貝塚も墓石のような石碑が立っているだけの場所だったので、きっとそんなものだろうと、立ち寄った事はありませんでした。

この日は小回りのきくバイクだったので普段通らない島の西側の道を走り、適当に曲がった道の脇にあったのがイチの里の石おのでした。イチの里は伊計島の別名「イチハナリ」から名付けられたのでしょう。

バイクを下りて木々の向こうに見た景色に衝撃を受けます。

邪馬台国(イメージ)!?

予想していなかった古代の光景が突然目の前に現れました。

うるま市文化財シリーズパンフレットによると、仲原遺跡は土地改良事業の事前発掘調査で1978年に発見され、学術的価値が高い遺跡として1986年に国の史跡に指定されたそうです。縄文時代晩期にあたる2000~2500年前のムラの跡で、広場には数棟の茅葺屋根の小さな建物が点在していますが、これは遺構全体に厚さ70センチの盛土をして地下にある遺構の位置や形を再現したものだそうです。

仲原遺跡からは径が約5~6メートルの大型の建物と2~3メートルの小型の建物が全部で23棟と土器や動物の骨などで作られた装飾品や実用品が発掘されたそうです。

I crossed Ikei Ohashi bridge and kept driving straight on the road between sugar cane and leaf tobacco fields, which cover a large part of the island. When I made a random turn at the one of the streets, I fond a big stone axe with “Ichi no Sato Nakabaru Ruins” engraved on it. As soon as getting off the motorcycle, I felt awe for the sight of prehistoric village right in front of my eyes. According to the Uruma City Cultural Property pamphlet, the site was discovered during the land improvement project in 1978. And later, it was designated as a National Historic Site in 1986 due to its high academic value. It is 2000-2500 year old ancient village remains which include 23 buildings, many shapes and sizes of potteries, stone axes, ornaments and household products made of bones of boar, dugong, whales and etc. The buildings have been restored based on folklore.

イチハナリの人々の生活
Life in Ancient Ikei Island

小型の建物はキャンプで使うテントのように、寝る為だけの場所だったのでは?と思う程小さいのですが、大型の建物は中に炉も設けられていて快適そうで、民族事例を参考に復元されたという住居は、2016年に訪れたアマゾン川流域の村で見た建物によく似ています。

大型の住居の内部
アマゾン川流域の村

広場の北側の少し小高くなった場所に立って2000年前の伊計島の生活に思いを馳せます。

今は島の海岸線沿いに残されているだけの原生林が、当時は島全体を覆っていたでしょう。日中は鳥のさえずりや虫の音が聞こえてくるジャングルを抜け、白い砂浜の向こうのどこまでも透き通った青い海で、魚や貝、時には力を合わせてジュゴンやクジラを獲り、森の木の実や猪を食料としていた生活です。きっと島づたいに勝連半島との往来もあったでしょう。そして満月の夜には月明かりの下で歌い、踊り、海や森の恵みに感謝していたかもしれません。

ムラの北西の崖の下、海岸近くには今もこんこんと水が湧き出る「犬名河(いんながー)」と呼ばれる井泉があり、湧き水は目の前の淡いエメラルドグリーンの海へと流れてゆきます。

犬名河(いんながー)。天井に鍾乳石が形成されている!
Ikei in-nagaa

アマゾンの村を訪れた時に案内してくれたガイドの青年が「アマゾン川沿いの小さな村に住む人達は幸せだと感じている。家族と一緒に暮らし、森には十分な食べ物があって、川で魚を釣る。逆に町へ出て行くとストレスで不幸せになる」と言っていたのを思い出しました。2000年前のイチハナリの人々も美しい自然と家族や食べ物に恵まれた幸せな生活を送っていたのかもしれません。


The smaller buildings are about 2-3m in diameter and big enough to sleep inside, just like camping tent. However, there is a fire place inside the larger building, which is about 5-6m in diameter, and it looks quite comfortable. The interior of the larger house reminded me of a building I saw at the village near the Amazon River in 2016. I stood at the edge of the ancient village of Ikei Island and imagined the life of the people in 2000 years ago. People would have gone to the sea to catch fish, and collect fruits and hunt boars in the jungle. There is fresh water spring called “In-na gaa” located north-east of the village and the water is still bubbling up today. I remembered the words of our guide in Amazon; “People live in the jungle are happy. They live with family, there is enough food in the jungle, and they can fish at the river. But if people move to a town, like Iquitos, they get stressed and become unhappy”.

勝連城址休憩所へ行ってみよう!
The Katsuren Castle Rest Area


仲原遺跡で発掘された土器は煮炊き、貯蔵、運搬などに使われた大小の壺や甕、鉢などで「仲原式土器」と呼ばれるそうです。土器に興味がある人は、うるま市勝連にあるユネスコ世界遺産勝連城跡の休憩所に勝連半島南に位置する津堅島の津堅貝塚から出土した土器数点が展示されているので、城跡と共に見学するのもおすすめです。

余談ですが、つい先日この休憩所に土器を見に行った時に「津堅にんじんサイダー」なるものを見つけました。
津堅島は別名キャロットアイランドと呼ばれ人参の産地として有名で、津堅島産人参ピューレと沖縄県産シークヮーサーが入った、着色料、保存料ゼロのサイダーです(200ml ¥270)。

ポップとラベルのデザインがかわいい津堅にんじんサイダー

店頭のポップには、サイダーだから「ふりふりせずゆっくりひっくりかえしながらおめしあがりください」と警告?があったので、ゆっくり一口目を飲んでみます。
最初は人参の味がほんのりする普通のサイダーなのですが、途中でビンを振って底にたまっていた人参を混ぜるとドロッとした野菜ジュースの食感に変わります。通常の野菜ジュースよりも炭酸とシークヮーサーですっきりさっぱりとしていて、伊計島めぐりで乾いた喉をおいしく潤してくれました!

The potteries excavated in Nakabaru Ruins are called “Nakabaru style pottery” and those were used to cook, store, and carry food. If you are interested in ancient potteries, you might want to visit the Katsuren Castle Ruins, the UNESCO World Heritage Site, in Katsuren, Uruma City. There is a rest area next to the parking lot and a couple of excavated potteries from ancient shell mound in Tsuken Island, located south of Katsuren Peninsula, are exhibited.


仲原遺跡
沖縄県うるま市与那城伊計
Nakabaru Ruins
Yonashiro-Ikei, Uruma City, Okinawa


勝連城址休憩所
沖縄県うるま市勝連南風原3908
TEL: 098-978-7373


Katsuren Jo Site Rest Area
3908 Katsuren-Haebaru, Uruma City, Okinawa
Phone: 098-978-7373