大田区千鳥町「森のテラス」と「中山ファームアパートメント」 Cafe "Mori-no-Terrace" & "Nakayama Farm Apt" in Ota-ku, Tokyo

羽田空港からほど近く、都道311号線(環八通り)を車で西に約20分、空港バスなら乗り換えなしで最寄り駅、武蔵新田まで約35分の場所に位置する大田区千鳥町。区立千鳥小学校の向かいに「中山ファームアパートメント」があります。一階に「千鳥 森のテラス」というオープンガーデンカフェが併設されたこの場所は、建物と人と植物が共存する千鳥町にあるオアシスです。

2階テラスガーデンから見た南棟

Chidori-cho in Ota-ku, Tokyo is an area located along route 311 or Kanpachi-dori and about 10 km west of Haneda Airport. Cafe “Chidori Mori-no-Terrace (terrace garden of the forest in Chidori)” and “Nakayama Farm Apartment” are cozy places in Chidori-cho where people, nature, and the building coexist in harmony.

住宅街の中の小さな森
Oasis in Chidori-cho


千鳥「森のテラス」は、アパートのオーナーで建築家の中山庚一郎(なかやま こういちろう)さんが、山田造園事務所が運営している東京「森のテラス」(この他、秋田県北秋田市に秋田「森のテラス」も有り)の、「多くの人に自然の中で心豊かな時間を感じてもらう」というコンセプトに共感して、同じ名前のオープンガーデンのカフェとして2015年に開店しました。

撮影:Joshua Akeno

中山ファームアパートメントの1階、もともとは駐車場だった場所の一角にあるカフェの木製のドアを開けると、中は小さな山小屋のような木の温もりが心地いい空間で、左右両側はほぼ全面大きなガラス窓になっている明るい店内です。

窓の外は入口から左手に千鳥小学校のグランド、右手に緑生い茂るアパートの中庭があります。店の中央にある8人掛けの大きな木製のテーブル、広々としたカウンター、そして小学校グランドに植えられた桜の木を眺める3人掛けの小さなテーブル席があります。

春は隣の小学校の桜を眺める特等席!

カウンターの中からアパートの管理人でオーナーの実の妹の増田勝栄(ますだ かつえ)さんが笑顔で迎えてくれます。とても気さくで、カフェやアパートについて教えてくれます。

台東区にある「cafe Bach(カフェ バッハ)」の豆を使用しているコーヒーは、増田さんが温度を測りながら丁寧に淹れてくれます。カウンター席の奥には薪ストーブがありますが、残念ながら条例で薪の使用が禁止されているそうです。ストーブの近くにはオーナーの奥さんが子供の頃に使っていたという、上品な猫足のアップライトピアノ「Gershwin(ガーシュウィン)」も置いてあります。

森のテラスのメインは「お粥セット(ぬか漬、佃煮、コーヒー又は紅茶付き、600円)」です。通常1日5食限定で(前もって予約をすれば大人数でもOK)、運が良ければ伊豆浮橋の農場で収穫された季節の野菜が入っている事もあるそうです。この他メニューには、紅茶やココア、ホットサンド(350円)や限定プリン(200円)などもあります。


Cafe Mori-no-Terrace is located next to Chidori Elementary School in Ota-ku. Mr. Koichiro Nakayama, the owner and architect, was inspired by the concept of “Mori-no-Terrace” in Tokyo, operated by Yamada Shigeo Landscaping Design Office, and opened cafe with the same name. The concept is “spending time in the nature and fulfill one’s self”. Inside the cafe is like a small cabin in the woods with wood stove and Gershwin upright piano. There are big glass windows facing elementary school and courtyard of the apartment at the opposite side. The place is very comfy and cozy. Ms. Katsue Masuda who works at the cafe is also the manager of the apartment and sister of Mr. Nakayama. She is very easy to talk to and makes great coffee. Cafe’s main dish is “okayu” which is rice porridge. Japanese usually eat okayu when they are sick or not feeling well because it’s easy on the stomach. Coffee, tea, hot chocolate, grilled sandwich, pudding, and etc. are also available at the cafe.

森のテラスで集う
Get Together at Mori-no-Terrace

森のテラスは、カフェでお粥やコーヒーを楽しむ他に、友達同士の集まり、絵や趣味の個展、コンサートなどの会場としても利用できます。

スペース貸し出しは予約制で、ミーティングや教室などには、テーブル使用が2000円(2時間)、趣味の会の販売などに12000円(10時~18時)、部屋全体(キッチン込み)で15000円(10時~18時、8時間未満は1時間2000円)、そしてギャラリーとして掛け板と壁面3.5メートルが10000円(1週間)で利用できます。
森のテラスのウェブサイトには、カフェで開催されるコンサートやイベント情報も掲載されています。営業時間は10:00~16:00、定休日は月曜・祝日です。

Other than having drinks and okayu at Mori-no-Terrace, you can rent the space for meeting, party, exhibition, or even for concert!; using tables for 2 hours is 2000 yen, selling items is 12000 yen (10:00-18:00), using whole cafe including kitchen is 15000 yen (10:00 – 18:00, less than 7 hours is 2000 yen per hour), and using walls for exhibition is 10000 yen for one week. You must make a reservation in advance, and they will not accept a request to use space for certain religious and/or political meetings.

中庭とテラスガーデンのある景色
The Courtyard and Terrace Garden


森のテラスが開店するずっと前、1978年に中山ファームアパートメントは建てられました。ワンルームスタイルの4階建てアパートは、敷地内に足を踏み入れると細部へのこだわりやセンスの良さを感じます。

アパートのエントランスから鉄格子のゲート前までのアプローチのライトがいい感じ! 撮影:Joshua Akeno

1階の森のテラスの横には広々とした解放感のあるエントランスがあり、奥へ進むと、植物に囲まれた小さな中庭が現れます。2月上旬だったので、植え込みの植物の半分程は葉を落としていたのですが、階段横には緑の葉を茂らせ赤い椿が咲いています。

撮影:Joshua Akeno

森のテラスの裏手、中庭の奥の階段を登り木戸を開けると、2階には気持ちのいいテラスガーデンがあります。
冬空の下、ローズマリーは小さな青い花を咲かせています。ここはアパート住人が自由に出入りできるテラスで、ポカポカ陽気の日にのんびりするには、もってこいの場所です。

南棟3階から1階中庭と2階テラスガーデンを望む。これは2017年夏の様子。 撮影:Joshua Akeno

中庭の一角には、雑貨屋風のおしゃれな美容室「アトリエ 想(ソウ)」もあります。アパートは南棟とガーデン棟に分かれています。緑にペイントされた鉄格子のゲートの扉を開けて、アパートの階段を登ります。

南棟はベージュの壁にベイビーブルーのドア、チョコレート色のタイル張りの外廊下に、植え込みの中にはキノコ型のライト(?)があり、植え込みや2階テラスガーデンの緑と調和した空間です。

植物の存在で、建物や空間は温かみのある洗練されたものになります。そして、建物は植物の様なもので、建てられたばかりの時の真新しい浮いた存在は、月日と共にその土地に根を張って、景色の一部になり、時にはその場所に無くてはならない存在になります。

Nakayama Farm Apartment was built in 1978. When you walk by the building, you may not notice it, but once you come inside the property, you will find a small courtyard at the center of the apartment. In February, half of the trees have lost the leaves, but red camellia flowers next to the apartment gate are in bloom. Also, there is a small stairs in the back of the cafe which leads you to the terrace garden on the second floor. Residents can use this space freely and this will be a nice place to enjoy sun during the winter and cherry blossoms of the elementary school across from the garden when spring comes!

小さいながらも心地いい我が家!
The Tiny Cozy Place!


オーナーの中山さんは旅好きのようで(森のテラスにも旅先で見た景色の水彩画が展示されています)、旅先でインスピレーションを得たというベイビーブルーの部屋のドアには、足元近くにある郵便受けのすぐ上に部屋の番号が付いているデザインです。隣の部屋はドアのデザインが違い、すりガラスが入っています。ドアを開けると、玄関には廊下と同じタイルが張られていて、外から中への繋がりと統一感があります。

撮影:Joshua Akeno

中へ入ると、旅館の一室に通されたように前室を思わせる障子で区切られたスペースがあります。増田さんに「旅館っぽいですよね」と言うと、内装は旅館などの設計を手掛ける中山さんによってデザインされたとの事。納得です。

おそらく建築当時のままのデザインの部屋は、小さなキッチンと板の間がある、6畳の和室です。部屋の角を四角く切り取ったように小さな、ここも玄関と同じタイル張りの、かわいいベランダがあり、南向きの大きな窓から太陽の光がたっぷり入る明るい室内です。

撮影:Joshua Akeno

年季の入った梁や柱も古臭さは無く、洋と和がミックスされた居心地のいい部屋です。
確かな技術で丁寧に造られた建物は、年を重ねるごとに熟成される泡盛の古酒(くーす)のように、味わい深さが生まれます。壁はコンクリート製なので、隣の生活音も聞こえず静かです。そして向かいの小学校から聞こえる子供たちの元気な声は、単調になりがちな日常生活にパワーを注入してくれます!

アパートのいくつかの部屋は現代のニーズに合った、オール電化、ウォークインクローゼット、浴室乾燥機付きの住み心地のいい部屋へとリノベーションされ貸し出し中です!

This 40 year old apartment is well designed inside and out. The hall way is covered with chocolate color tiles and the color perfectly matches with baby blue doors. Inside is almost like a small ryokan (traditional Japanese inn) room, and there are shoji screens which divide the entrance and the room. The interior of the apartment was designed by Mr. Nakayama. There are kitchenette and small bathroom with big mirror, and tatami room with wooden floor area attached. The room is facing south, so it is very bright and sun light warms up the small room. Looks like this is one of the original rooms of the apartment. However, there are also rooms that have been renovated to meet today’s needs; All-electric room, walk-in closet, bathroom dryer, and etc. Some of the rooms are currently available for rent!

伊豆の国市八丁農園
Farm in Izu, Shizuoka

中山ファームアパートメントになぜ「ファーム」が入っているかと言うと、中山さんが実際、仲間と共に伊豆浮橋にある農園で農業を行っているからです。太平洋戦争中、東京から伊豆へ疎開した中山一家は戦後しばらく伊豆で暮らしていたそうです。その後、東京へ戻りますが、庚一郎さんが縁のある伊豆に3000坪の土地を買って農業を始めたそうです。

森のテラスでは伊豆浮橋の農園で収穫される野菜を使っています。農園にある梅園の梅も今が見頃ではないでしょうか。千鳥森のテラスのウェブサイトには農園や梅園の写真も掲載されています。
緑に囲まれて、人恋しくなればカフェで気さくな管理人さんとおしゃべりもできる、中山ファームアパートメント。それぞれが程よく繋がっていてホッとできる、千鳥町にある小さな森です。

(注)けして増田さんがものすごく小さい訳ではありません。

The reason that the name of the apartment is Nakayama “Farm” Apartment is because Mr. Nakayama owns farm in Izu in Shizuoka prefecture. He and his friends grow vegetables there and, if you are lucky, you might be able to eat them at the cafe Mori-no-Terrace!


千鳥 森のテラス/中山ファームアパート
住所:東京都大田区千鳥町2-6-5
電話:03-3750-1051
ウェブサイト:www.moritera.com/chidori/chidori-moritera.htm

Chidori Mori-no-Terrace/Nakayama Farm Apartment
Address: 2-6-5 Chidori-cho, Ota-ku, Tokyo
Phone: 03-3750-1051
Website: www.moritera.com/chidori/chidori-moritera.htm